「三鷹の此の家」に行ってきた。
太宰 治が生活した家を再現した展示館だ。
太宰 治には、子供がいて、子煩悩だったこと、
太宰が、親しい人の前だけで描く油絵が上手だったこと、
奥さまの、美知子さんと生活した時代の作品は明るいこと、
太宰が読んでた官能小説、
夏が好きだったこと、
「夏服をもらったから、夏までは生きようと思った」
という、太宰らしい文。
そんなものを目の当たりした。
売れっ子の作家で、
女性はモテて、妻子もいて、
三鷹に風呂つきの家も持ってて、
実家は地主で、
悩みなんて、ないように思えた。
この家に来ると、太宰を身近に感じられて感激した。
太宰ファンには、たまらない。
ところで、
太宰の文章は、すぐに情景が浮かんでくる。
人間失格を読んだ時、自分が太宰であるかのような感覚がしたことを思い出した。
彼の書いた文章は、内容がスーッと入ってくるだけじゃなく、
すぐに自分の中で映像に変換される。
こんな風になる作家を、他には知らない。
世の中には、
「ポジティブなものだけが正義だ」と言う、
浅いスピリチュアル論をよく見るけど、
太宰治の存在は、ネガティブなものも、美しくて魅力的なんだと教えてくれる。
森田童子の「まぶしい夏」という曲は、
太宰に憧れて自殺した恋人の曲。
めちゃくちゃ鬱な気分になるけど、とても美しい。
私は、太宰がなくなった場所も見たかったので、玉川上水も見に行ってきた。
今では、とても浅い川になっていた。
ここに太宰が…と思いをはせた。